遺体管理学

           Human remains Lab






















    国立感染症研究所




   感染症疫学センター














































遺 体 衛 生 学   ( 遺体公衆衛生学 )


患者さんと遺体では、公衆衛生学の観点が大きく異なり、対策や対応も異なります



                                 商用使用厳禁

          個人使用、教育(正規の高等教育課程)・学術研究、院内研修目的での使用は認めます




遺 体 衛 生 学 ( 遺 体 公 衆 衛 生 学 )


 国内では本格的な遺体の研究がなされておらず、遺体における正規の教育もありません
葬儀レベルでの遺体の教育はありますが、医学や科学レベルからすれば「根拠に乏しく、内容的にも科学的には間違いが多い」と言えます。
現状を考えると改善すべき部分が多いのですが、「葬儀は宗教行為」(厚労省や環境省の判断)であり手つかずの状態です。
国内では遺体衛生学(遺体公衆衛生学)が存在しないために、北米の葬儀学校向けのテキストやノートの翻訳文、
または、国内の公衆衛生学テキストの転用でしかありません。

 そして、これらが葬儀専門学校で使われることはありますが、医療従事者の専門学校や大学等で遺体衛生学が
講座や講義として行われることはなく、看護学校や看護学部の「成人看護の講義」で
エンゼルケアが1コマある程度に過ぎません。(葬儀社社員を呼んで特別講義等で対応して、これらが正しいと妄信している)
葬儀従事者から衛生学を教わるとい「不思議で理解不能な事態」が発生し、看護学校や看護学部の教員も疑問を持たない
不思議な事象です。

 そもそも、アメリカの葬儀学校はで大卒者が12か月、高卒者が18か月が就学期間の基本であり、
アメリカ国内に4年生の正規大学は数校しか存在しません。(私も日本国内で、アメリカの儀大学卒業者には会ったこともありません)
そのために、遺体関連の講義や実習時間は多くはなく200〜300時間程度で、この時間内で遺体や遺体処置、化学や物理系や
基礎医学系の講義と実習を行うために、時間的に考えても学内教育では本格的な教育は難しいのが現状です。

 そのために、日本の医療従事者の最低規定時間(授業時間 2,500時間以上)から見れば、総合的に時間数が絶対に足りません。
しかし、授業時間の多い日本においても、遺体衛生学に関する書籍が存在しないことから、一般の公衆衛生専門書を
転用していますが、「走っている車と故障して止まっている車」の違いと同じく全く状態も症状も異なります。

 遺体には生体にない特異性があり、これを理解していなければ公衆衛生学の転用は不可能です
誤った知識や考えを広めることは、「公衆衛生の目的」からすれば絶対的禁忌行為です。
すなわち、遺体には「遺体特有の公衆衛生学が存在し、これらが遺体衛生学」となります。

 東京都監察医務院勤務時は、安全衛生委員会委員、安全衛生小委員会委員、解剖室運営委員会委員、解剖室運営小委員会
委員として遺体からの感染リスクや感染抑制に取り組みましたが、当時は「参考資料や参考文献がほとんどありませんでした」。
現在は下記の様な参考とするべき文献や資料、書籍もあり「遺体と感染に関する、多々しい見地や見解」が得られる環境です。

 WHOをはじめとして、CDCやPAHOでも「遺体からの感染」に対しての考えを公開しており、厚生労働省は正式な見解を
示していませんが、国立感染症研究所や国立保健医療学院においても、PAHOやWHOのマニュアルを翻訳や引用して、
「遺体と感染」に関する考えを示しています。





公衆衛生学 と 遺体公衆衛生学 の 違い


 医療従事者の基本である「清潔と不潔」は遺体には存在しません
「清潔と不潔」とは患者さんを感染から守るための考えであり、既に死亡している遺体に関しては「清潔」は必要ではありません。
「清潔」は医療従事者から患者さんに対する考えであり、遺体に関しては「逆方向の考え」が必要となります。
これは、サージカル・マスクとレスピレート・マスクの違いと同じで、「どちらを対象にするか」で決まります。

 すなわち、遺体公衆衛生学は遺体における微生物学的な特異性を考え、遺体からの感染や汚染を考える学問であり、
正常の公衆衛生学とは異なる(逆の発想)観点と異なる答えが導き出されます。
遺体公衆衛生学(遺体衛生学)は、正常公衆衛生学に加えて遺体特異性(遺体管理学)の知識もなければ、
正しい判断が出来ない考えです。

 Neisseria gonorrhoeae は淋病を引き起こす病原細菌ですが、環境温度が33℃以下の低温と42℃以上の高温では
急激に死滅し、「25℃以下では存在(生存)しません」
また、Treponema pallidum は梅毒を引き起こす病原体ですが、環境温度が4℃で死滅(7℃)して「感染性を失活」します。
そのために、正常公衆衛生学であればヒト⇒ヒト感染が成立しますが、遺体では Homeostasis が存在しないために、
中枢性発熱のI−5型以上の遺体を除けば、遺体温度は死を境に低下します。

 特に、近年推奨している「医療機関でのクーリング」を行うことにより、遺体胸腹部深部温度は25℃以下まで速やかに低下します。
多くの病原細菌群は、環境温度(生育温度とも解釈しても可)が25℃以下であり、遺体のクーリングは腐敗や自家融解
(自身の酵素による自己融解)の抑制だけではなく、病原微生物対策にも有効な方法であり、遺体衛生学的にも
「死亡直後のクーリングは非常に有効な方法」です。 (対象が中温細菌群であるため)

 この様に、Homeostasis がない遺体と健常者や患者さんでは、プロセス自体が大きく異なるために、刻々と変化する遺体状態に
より公衆衛生的観点が大きく変化をするために、死亡直後からの遺体変化を熟知しなければ遺体衛生学も難しい部分があります。
特に、遺体衛生学は感染症の観点では「死亡直後から6時間(12時間)」が重要な時間であり、死後時間経過と共に
「感染リスクは低下する」(堤 寛 MDの文献参照)ことから、医療現場や医療従事者に重要な知識です。
パンテミック発生時には、医療従事者が遺体管理と遺体衛生学を指導しなければならず、死亡直後の初期対応で全てが決まる
部分もあります。

 死を境として感染リスクは低下の一途ですが、「微生物学的には死亡直後は死亡前と同じ」であり、感染経路の減少があり
感染リスク低下はありますが「死亡直後の病原体対策は患者さんと同じ」と考える必要があります。(排泄物や体液、感染性廃棄物)
これは簡単な話であり特別なことはなく、「患者さんと同じ対応」(排泄物や体液等の廃棄物)を行えばよいだけです。

 しかし、公衆衛生学は生きた患者さんと生きたヒトへの学問であり、「相違点の理解」から入る必要があります。
感染対策と微生物・医動物対策は異なり、これらが理解出来なければ遺体公衆衛生学の理解は難しい部分があります。
患者さんや医療従事者では感染症対策ですが、大規模災害時においては微生物対策も必要となります。
スマトラ沖地震や台風、洪水などで多数の遺体が発生しましたが、これらの災害時には下水道の汚水拡散や汲み取りトイレ等の
汚染物拡散により「赤痢やコレラ」が散発的に発生するために、被災遺体表面にも病原微生物付着が見られ環境消毒と合わせて
洗浄や消毒は必須となります。

 3.11被災遺体に関しても宮城県、岩手県の被災現場を確認しましたが、「汚染の可能性の高い遺体」を確認しています。
しかし、東北の3月であり(震災直後に臨場したが吹雪が強く、積雪があった)、被災地感染は抑制されていましたが、
現地で検疫関係者や消毒関係者を確認しておらず、被災地や被災遺体の消毒も見ていません。

 本来、被災遺体や2次感染源となる遺体の消毒は看護師等の医療従事者の責務と定められていますが
(災害基本法や自治体災害条例)、大規模被災現場でのトリアージでは「生きた人間が最優先」であり、
既に死亡して医療を必要としない遺体に関しての選別は「黒タグ」であり、最後に対処する(手が空いたら)との分類であることから、
遺体担当(専門)看護師等がいなければ行政職員や葬儀社等の医学知識や医学資格もなく、
責任もない者(国家資格を有する者は責務を負わなければならない)の消毒等が正しいか疑問です。
仮に2次感染やパンテミックが発生した場合には「誰も責任を取りません」。(資格や法令がないので責任を問えない)

 しかし、看護師であり学生時代に公衆衛生学を履修していても、環境や遺体に対する消毒知識はほとんどありません。
そのために、大規模災害時(土中遺体、水中遺体等)に関する消毒方法を公開します。(委細ページにて)
水中遺体においても淡水か海水か、夏か冬か、下水道非整備地区か完備地区かにより対応は異なります。


参考となる文件・情報


エボラウイルス病遺体(EVD)

葬儀業界や葬儀従事者の書いた本、講習資料、テキストは「ほとんどは根拠も科学性もない物」であり、信憑性がほとんどありません。
ネット社会ですので教育や知識のない人達でも「ネット検索で情報は集められます」が、その情報のトリアージや解読、意味合いも解らず、
自身や自社にに「有利な語句だけ」を集めて、「遺体は危険であり遺体から感染する」と恐怖心を煽っています。
確かに、遺体からの感染はゼロではありませんが、医学教育を受けた者であれば「遺体からの感染リスクは患者さんからの
感染リスクより、はるかに低い」ことが理解できていると思います。 (CDCの報告書にもあり)
アフリカで発生している「エボラ出血熱(最近はエボラウイルス病 EVD)罹患遺体からの感染」は、アフリカ特有の問題です。
アフリカはイスラム教とカトリック教が主な信仰であり、「土葬習慣」です。(アフリカ人の多くは、人は土から生まれ土に還ると信じている)。
そして、アフリカ人の多くは「遺体を素手で撫ぜる習慣があり(イスラム教の協議に遺体清拭がある)、出血熱で血液等が漏出した遺体も
素手で撫ぜて、消毒はしません」。(遺体の清拭は遺体表面、陰部、口腔や鼻道等の細部にわたり、素手や布で清拭する)
当然ながら、死亡直後の力価が非常に高い血液が手に付着しても平気であり、そのまま調理や食事、日常生活を行う様ですので
「遺体感染」が生じますが、先進国や世界一の火葬国である日本では「遺体感染は起こりえない」と考えられています。

 高病原性鳥インフルエンザやSARS(これらは空気感染・飛沫核感染)やエボラウイルス病遺体は、感染症対策に熟知した医療従事者
(20年間、臨床現場で医師や看護師をしても消毒を始めとした感染拡散対策を知る者は非常に少ない)、もしくは消毒所職員、
感染症遺体対策を熟知し経験のある遺体専門家(日本にはいない)以外は、患者さんの死亡から(病理解剖も含め)火葬までの
プロセスに関与させるべきではなく、俄か専門家の関与が「感染拡大」を引き起こす原因となります。
しかし、日本には「重篤感染遺体対応の遺体搬送車(霊柩車も含め)は存在せずに、火葬場設備や火葬場職員においても
重篤感染症遺体対策が講じられていません。(昔は病院内で重篤感染症遺体を火葬できた時代もあった)
そのために、上記疾患で患者さんが死亡した場合は(パンテミックでは無理だが)、上記の者達が病院から火葬場まで立会、
火葬炉に収められて「炉内温度が300℃に達するのを確認」をして安全な埋葬が出来たと考えるべきです。(100℃以上でも大丈夫だが)
遺体搬送時には高気密性納体袋の使用が必須となります。(気密性試験に合格した医療用納体袋を使用する) 葬儀社の物は使用不可
情報・速報のHP
感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律 (遺体の移動制限、24時間以内の火葬可能等の項あり)


 しかし、何故か日本国内の葬儀業界、葬儀社、葬儀従事者、葬儀社との関係が非常に親密なや医師や看護師、学者だけが
「遺体は危険で汚い」と言っており、世界的には不思議な状態が続いています。(一部重篤感染症では可能性としては否定できない)
これは、日本に遺体に関する学問が存在しないためであり、日本での葬儀は民間商業行為であり、科学や学問ではない点に
原因があります。
「遺体からの感染がなければ儲からない(商売とならない、商品が売れない)」、「遺体からは感染しなければ困る」ために、
葬儀社や葬儀業界のHPには以下の様な嘘が氾濫しています。(真実はつまらなく儲からないもの)

「エイズで死亡した人の葬儀は葬儀社社員や参列者がエイズに感染する」 (厚労省やエイズ関連団体も呆れていた !)
「自宅死亡の場合は、死亡した部屋を消毒するまで入室は危険」 (死亡前の看護や介護が大丈夫で、死亡した途端に危険になる ?)
「死体内では感染症を引き起こす病原体が増加する」 (しません !!、腐敗系細菌は増加しますが他の細菌やウイルスは減少または死滅)
「遺体から空気感染するので、同じ部屋は危険」 (遺体は呼吸もクシャミもせず、飛沫を発生しません  呼吸をする遺体を見たことがない !!!)
 (空気感染が出来るのは結核、麻疹、水痘、レジオネラであり、遺体は呼吸や活動もなく、そのリスクは更に低下している !!!!)
「病院で死亡した遺体の80%は重篤な感染症に罹患(遺体から伝搬する)」 (あり得ません !!!!!、本当なら病院内で火葬します !!!!!!
「遺体を素手で触ると危険」 (死亡前は素手でバイタルをとり素手で介助をしていたが、死亡した途端に危険となりゴム手袋必要 ??)
これらの戯言を信じる看護師が多く存在しており、医学や医療の進歩は進んだが看護師の知識レベルが着いて来ていないと感じます。

医療従事者や医学資格者、教育者は正しい情報を得て、正しい対応をすることが必須です
葬儀社や葬儀従事者の嘘は利益等の自己のためであり、医療従事者の嘘は患者さんのためです (癌ではなく潰瘍等)


参考とすべき正しい情報は下記の物です

藤田保健衛生大学医学部第一病理学教室 堤 寛 教授 と文献(国立国際医療研究センターの感染情報ページ 少々古いが基本となる情報)
 (2006年12月 都内のホテルで347人がノロウイルス集団感染 経口感染しかないと考えられていたが塵埃感染が発生した)
感染症病理アトラス  堤 寛  著 (HP頁から目次経由で本文も読めます 大変参考になります)
国立感染症研究所のHP(遺体から感染の項目はありませんが、病原体情報、感染経路情報があり、これらを遺体特有条件で考慮する)
「被災地における遺体からの感染リスクについて」 国立感染症研究所 感染症情報センター(現 感染症疫学センター) 2011年3月18日
Management of Dead Bodies after Disasters PAHO 全米(汎米)保険機構 / WHO 世界保健機構の災害時遺体管理マニュアル
災害後の遺体管理  一次対応者のための現場マニュアル 上記マニュアル(PAHO/WHO)を国立保健医療学院が翻訳
結核患者の死亡時の対応  浜松医療センター 感染症科長 矢野邦夫 副院長


(ほとんどの感染性病原体は遺体において48時間生存しない 、例外はHIVであり死後6日間の生存例が報告されている)と明記
  ただし、これらは「良い状態の遺体での話し」であり、クーリングや腐敗した遺体では病原微生物の失活は更に早まります